認定医療法人制度を活用して持分なし医療法人へ移行

普通に持分あり医療法人から持分なし医療法人へ移行すると、出資者が出資持分を放棄することで払い戻しや残余財産の分配を受ける必要がなくなるので、経済的利益とされ課税対象(贈与税)となります。但し、一定の要件を満たせば贈与税は課税されません。

もう一つは、持分なし医療法人へ移行過程で、ある出資者が出資持分を放棄し、他の出資者が出資持分を放棄しなかったとき、ある出資者の出資持分のうち利益剰余金に相当する部分の金額が他の出資者の経済的利益とされてしまいます。つまりある出資者(放棄者)から他の出資者(非放棄者)に贈与税が課税されます。

 

そこで、認定医療法人制度を活用することで、上記問題が生じないようにすることができます。この制度は平成29年10月1日から令和5年9月30日までの6年間に、移行計画を作成して厚生労働大臣へ申請し、認定を受けた法人です。認定を受けた医療法人は、認定の日から3年以内に「持分なし医療法人」へ移行しなければなりません。3年以内に移行せず認定が取り消されれば、納税猶予されていた贈与税や相続税があれば訴求して課税されてしまいます。また、持分なし医療法人への移行完了後6年間は、毎年「持分なし認定医療法人」としての運営状況を厚生労働大臣へ報告する義務があります。

 

認定を受けるための要件は以下のものです。

  • 移行計画が社員総会において議決されたものであること
  • 出資者等の十分な理解と検討の下に移行計画が作成され、持分の放棄のみ込みが確実と判断されること等、移行計画の有効性及び適切性に疑義がないこと
  • 移行計画に記載された移行期限が3年を超えないこと
  • 以下に掲げる運営に関する要件を満たすこと

運営方法

(a)  法人関係者に対し、特別の利益を与えないこと

(b)  役員に対する報酬等が不当に高額にならないような支給基準を定めていること

(c)   株式会社等に対し、特別の利益を与えないこと

(d)  遊休財産額は事業に係る費用の額を超えないこと

(e)  法令に違反する事実、帳簿書類の隠蔽等の事実その他公益に反する事実がないこと

事業状況

(a)  社会保険診療等(介護、助産、予防接種含む)に係る収入金額が全収入金額の80%を超えること

(b)  自費患者に対し請求する金額が、社会保険診療報酬と同一の基準に拠ること

(c)   医業収入が医業費用の150%以内であること

 

これら要件を満たして認定されれば、認定医療法人の出資者が、その出資持分の全部又は一部を放棄して、その認定医療法人が経済的利益を受けても、その贈与税は非課税とされます。

 

次に、認定医療法人の出資者が、その持分の全部または一部を放棄して、他の出資者に対して経済的利益の移転があったとみなして贈与税が課される場合であっても、移行期限まで、その贈与税の納税が猶予されます。そして期限内に持分なし医療法人へ移行した場合に免除されます。全員が持分なしになるから当然です。

 

そして、認定医療法人の出資者が移行期間中に死亡して、相続人等がその出資者により相続や遺贈で出資持分を取得したとしても、認定移行期限までその納税が猶予されます。そして期限内に持分なし医療法人へ移行すれば免除されます。