持分あり医療法人から持分なし医療法人へ移行

平成19年医療法改正前の「持分あり医療法人」と改正後の「持分なし医療法人」の違いは、持分(定款により出資額に応じて払い戻し又は残余財産の分配を受ける権利)を有している者がいるかどうかになります。

持分あり医療法人は、出資者が亡くなった時に、その出資者が保有している出資持分に対して相続税がかかります。そして内部留保利益が大きければ評価額が高くなります。一方、持分なし医療法人は、内部留保利益が蓄積しても、相続税の対象にはなりません。そこで持分あり医療法人から持分なし医療法人へ移行することを検討するのも一案です。

 

持分あり医療法人から持分なし医療法人へ移行する場合の手続きは、定款変更を行って、都道府県知事の認可を受けなければなりません。例えば定款は以下の個所を変更することになるでしょう。

 

変更前

変更後

社員資格を喪失した者は、その出資額に応じて払い戻しを請求することができる。

削除

本社団が解散した場合の残余財産は、払込済出資額に応じて分配するものとする。

本社団が解散した場合の残余財産は、合併及び破産手続きの決定による解散の場合を除き、次の者から選定して帰属させるものとする。

(a)  国

(b)  地方公共団体

(c)   医療法第31条に定める公的医療機関の開設者

(d)  都道府県医師会又は都市区医師会(一般社団法人又は一般財団法人に限る)

(e)  財団たる医療法人又は社団たる医療法人であって持分の定めのないもの

 

なお、持分なし医療法人へ移行するための定款変更を行った場合、出資者に対して払い戻し又は残余財産の分配を行うべき金額について、出資者がこれを放棄することになりますから、相続税法第66条の規定により、医療法人を個人として贈与税が課税される可能性があります。そうならないためには、以下の要件を満たす必要があります。

 

  • 運営組織が適正、かつ役員等のうち親族等の占める割合が3分の1以下
  • 法人関係者に対し、特別の利益を与えないこと
  • 解散時の残余財産が国等に帰属する旨の定めがあること
  • 法令違反、帳簿書類の仮想隠蔽その他公益に反する事実がないこと