解散する医療法人の役員退職金は残余財産を考えて支給

役員退職金も勝手に決められるわけではなく、損金算入限度額があります。法人税法ではその方法は明記されていませんが、過去の裁判事例等から「功績倍数法」という計算方法により、役員退職金の適正額を算出することが多くなっています。

損金算入限度額=最終月額報酬×金属年数×功績倍数

 

功績倍数は、医療法人と類似する法人を数社選定して、その平均的な功績倍率を算出する方法や、類似する医療法人のうちの最高値の功績倍率を採用する方法があります。理事長や理事、監事等の役職や功績に応じて、概ね1~3倍が妥当な倍数と言われています。

 

役員退職金を支給した後で、その医療法人を解散すると、その事業年度において欠損が生じた場合には、その欠損金額を、その年度の前年度に繰り戻して、法人税額の還付を請求できます。医療法人が役員退職金を支給した後で、その医療法人を解散する場合、役員退職金を損金算入限度額以上に支給しても、切り捨てとなる欠損金が減少するだけで法人税がかからないこともあります。

 

持分あり医療法人を解散した場合の残余財産は出資者に分配され、出資者が分配を受けた時、その金銭等の額が、出資に対応する部分の金額を超えるときは、その超える部分の金額は、剰余金の分配とされて、所得税の対象となります(みなし配当課税)。配当所得として総合課税になります。そのため、解散する持分あり医療法人の場合、役員退職金として支給(退職所得課税)した方がいいのか、残余財産の分配をした方がいいのか(配当所得課税)を考えて役員退職金支給額を決めましょう。

 

一方、持分なし医療法人を解散した場合の残余財産は、合併や破産手続き開始の決定による解散を除き、国や地方公共団体などに帰属させることになります。そのため、解散する持分なしの医療法人の場合は、損金算入限度額を超えても、役員退職金として支給(退職所得課税)した方が有利になるでしょう。