武富士の史上最大の節税

今は亡き、消費者金融の武富士。そのビジネスによって恩恵を受けた人もあり、自殺をした人さえいたでしょう。この武富士のおかげで税法が改正されたことがあります。おそらく税務の世界で「史上最大の節税」と言えるものです。

もちろん彼らは法律に乗った処理をしたので合法には違いないのですが、我々一般庶民からしますとどうも腑に落ちないといわざるを得ません。今では使えないスキームですが、簡単に武富士の合法的節税スキーム(当時)を記載しましょう。

まず武富士の創業者はオランダに会社を作り、自分の保有している武富士の株をオランダの会社に保有させました。オランダは税金も安く、タックスヘイブンに準ずる国です。オランダの会社の株は武富士の創業者が持っています。どう考えても日本人が持っているんじゃないかと思いますが、オランダの会社ですから、海外資産という扱いになっていました。

そしてこのオランダの会社の株を香港に在住している息子に譲渡することで贈与税を免れました。なお、香港には贈与税がありません。当時の時価が2,600億円でしたから、日本の税法上では、半分の1,300億円の税収になるはずでした。もちろん国税も黙ってはおらず、贈与税を要求しました。

「長男は香港に住民票を移しているものの、実際は日本で生活しており、香港に住民票を移したのは課税逃れです。そのため、実質的に日本に住んでいたのだから日本の贈与税がかかります」として追徴課税を課しました。

この結果、最高裁まで争われることになり、最終的には国税は敗訴しました。最高裁では「当時、長男は香港に居住の実態があった」と結論付けました。こともあろうに国税は徴収していた税金を創業者一族に返還しただけでなく、仮徴収していた税金の利子を400億円支払うことになりました。

これをして、400億円も取られやがって、と国税を責めるわけにはいかないと思います。法律上にのっとって、行動した結果だったはずですし、どう考えても国税の行動の方が正しいと一般庶民は考えるはずです。但し、法治国家ですから、当時の法律の解釈で、どちらが正しいかという判断をせざるを得ません。ここを国家が捻じ曲げて、ありもしない法律をこれから制定するのだからいいのだ、としてしまっては、それこそ法治国家でも民主主義でもなくなってしまいます。

一般庶民とすれば釈然としない話ですが、やむを得ないと言わざるを得ないでしょう。しかし武富士の株式は紙切れになりましたし、この400億円という大金が残ったのでしょうか。本来ならば、過払い金にこの400億円を分配すべきだと感情的には思ってしまいますよね。