匿名組合の税務について

匿名組合による事業で得られた所得については、営業者と匿名組合員がそれぞれ納税義務者となります。

(1) 収益・費用の分配
(a) 匿名組合員
法人が匿名組合員である場合、生じた利益や損失の額は現実に利益の分配を受け、損失の負担をしていない場合でも、匿名組合契約によってその分配を受け、負担すべき金額を計算期間の末日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入します。

(b) 営業者
匿名組合の営業で生じた利益の額又は損失の額については法人である営業者に帰属し、匿名組合契約による匿名組合員に分配すべき利益の額を営業者の段階で当該事業年度の損金の額に算入し、匿名組合により組合員に負担させるべき損失の額については、営業者の段階では益金の額に算入します。

(2) 所得税法上の取り扱い
(a) 匿名組合員
通常、匿名組合契約に基づく営業者から受ける利益の分配は雑所得となります。但し、匿名組合員が営業者の営む事業にかかる重要な業務執行の決定を行っている等、組合事業を営業者と共に経営している場合は、当該営業者の営業内容に従って、事業所得又はその各種所得となります。
損失分担の取り扱いについては、匿名組合営業で損失が生じた場合、その損失の発生年度で損失計上はできないとされています。損失の分担は現実の負担ではなく計算上の分担だからです。あくまでも計算上出資の価額が減少しているだけで、損失の価額はいまだ確定していないために、ここで生じた損失の分担額を当該計算期間の各種所得の計算上必要経費に算入することはできません。

(b) 営業者
個人である営業者の所得税法上の取り扱いについては、営業者が匿名組合員に分配する利益の額は、当該営業者の当該組合事業にかかる所得の金額の計算上必要経費に算入します。

(3) 相続税法上の取り扱い
営業者が死亡した場合には匿名組合契約は終了し、出資金を直接変換することになりますが、匿名組合員が死亡したときは、その相続人が匿名組合契約の匿名組合員の権利義務を承継します。匿名組合員につき相続が開始した場合には、相続人は出資に関する権利義務を承継取得することとなり、相続税が課されます。権利の価額は、課税時期において匿名組合契約が終了したものとした場合に匿名組合員が分配を受けることができる清算金の額に相当する金額になります。

(4) 消費税法上の取り扱い
匿名組合による営業の資産の譲渡又は課税仕入れについては、営業者が単独で行ったこととされますから、営業者が納税義務者となります。そのため、出資者が匿名組合から受け取る利益配当金は消費税の課税の対象とはなりません。

なお、法人税法及び所得税法上、匿名組合自体の確定申告書の提出は不要です。ここで生じた所得に関しては営業者や匿名組合員が個々に申告することとなります。