退職年金等信託の課税関係

退職年金等信託は年金信託と財産形成信託の2つに大きく区分されます。

A:年金信託
(1) 厚生年金基金信託の税務
(a) 掛金の拠出段階の税務
事業主が負担し信託銀行に納付した掛け金は、事業主の段階で損金の額に算入されます。従業員負担分については、会社は立替金として処理します。事業主が基金に拠出した掛け金は福利厚生費として損金に算入できます。

(b) 掛金の積立・運用段階の税務
加入者が負担する掛け金は社会保険料控除の対象となります。

(c) 厚生年金基金にかかる消費税
厚生年金基金が加入者及び加入者を使用人とする事業主から徴収する掛け金等はその全額が保険料等を対価とする役務の提供に該当し非課税売り上げとなりますが、信託契約にかかる信託財産の運用にかかる資産の譲渡等は信託銀行に帰属し同基金が信託銀行に支出する信託報酬は課税仕入れとなります。

(2) 確定給付企業年金信託の税務
(a) 掛金の拠出段階の税務
企業が負担する掛け金は、損金の額に算入されます。なお、掛け金は通常現金で納付しますが、一定の基準による上場株式での納付を行うことができます。企業は掛け金を基金型企業年金では企業年金基金に、規約型企業年金では年金資産を管理・運用する機関(信託銀行等)に納付します。また、加入者自身が負担する掛け金は生命保険料控除の対象となります。

(b) 掛金の運用段階の税務
運用収益は非課税となり、現在課税は凍結されていますが、積立金は特別法人税等が課されます(特別法人税1%、法人住民税0.173%)。

(3) 確定拠出年金信託の税務

(a) 掛金拠出段階の課税
事業主掛金は事業主の段階で課税所得算定上控除できます。その他、従業員の拠出金は従業員の段階で所得算定上、小規模共済等掛金控除の対象となり全額が控除されます。なお、従業員の段階では掛金分について課税が繰り延べられます。

(b) 運用段階の信託財産にかかる利子等の課税の特例
個々での利子や配当については所得税がかからず、源泉徴収課税も行われません。通常の預金等の利子や投資信託の収益の分配に対しては源泉徴収課税が行われますが、確定拠出年金制度では将来において年金又は一時金として給付を受けるまで、掛金の運用益に対しては加入者は課税されません。

(4) 適格退職年金信託の課税
適格退職年金信託における従業員の掛け金は生命保険料控除の対象となります。適格退職年金から受給された場合に一時金で受給したものは退職所得とされ、退職年金として受給したものは雑所得となります。
また、適格退職年金信託が拠出した掛け金はその企業の当該事業年度所得の計算上。全額を損金の額に算入できます。受託者の段階において、信託財産により株式、公社債などに運用された場合に生ずる利子・配当所得及び売却益について所得税は課されません。

B:財産形成信託

(1) 勤労者財産形成貯蓄信託の税務
勤労者財産形成貯蓄制度は、勤労者が金融機関等と契約を結び、3年以上にわたって賃金から天引きされる方法で積み立てが行われる貯蓄制度です。一般の預貯金にかかる利子所得と同様に源泉分離課税とされています。

(2) 勤労者財産形成住宅貯蓄信託の税務
勤労者財産形成住宅貯蓄信託は、55歳未満の勤労者の持ち家取得促進のための制度で、勤労者が金融機関等と契約し、持ち家取得のための資金作りを目的に積み立てを行う制度です。貯蓄元本550万円までの利子等について所得税が非課税とされます。

(3) 勤労者財産形成年金貯蓄信託の税務
勤労者財産形成年金貯蓄信託は、55歳未満の勤労者が金融機関と契約し、60歳以降に年金として受け取ることを目的に積み立てが行われる貯蓄制度です。
預入等をした財形年金貯蓄の元本の合計額が、その利子等の計算期間を通じてその金融機関の営業所等における財形年金貯蓄非課税限度を超えないときは、その財形年金貯蓄の利子又は収益の分配もしくは保険等の差益に対して所得税を課されません。

(4) 勤労者財産形成給付金信託の税務
勤労者財産形成給付金信託制度は。事業主が勤労者のために金銭を拠出し、原則として7年目ごとに勤労者に元利合計額を給付する制度です。
ここでの利子、配当は非課税となります。受益者である勤労者が受け取る満期給付金又は退職などにより法定中途支払い給付金は、所得税法上は一時所得となり、課税上の優遇措置が受けられます。

(5) 勤労者財産形成基金信託の税務
勤労者財産形成基金信託制度は、事業主から同基金に拠出される掛け金を同基金が信託会社等に払い込み、加入者である勤労者に対して7年目ごとにその供出金の元利合計額が給付金として支給される制度です。
事業主が拠出する金銭は、事業主の拠出段階で全額が損金の額又は必要経費に算入されます。財政形成基金信託に帰属すべき利子・配当は非課税となります。
また、受益者である勤労者が受け取る満期給付金又は退職等による法定中途支払い給付金は、所得税法上は一時所得となります。