その他の信託の形態

平成19年の税制改正において、新たな類型の信託等への対応が行われ、以下のような分類も出てきました。

A;自己信託と事業信託
特定の者が一定の目的に従って、自分の持つ一定の財産の管理や処分等を行い、委託者が自ら受託者となる自己信託や、企業がある事業部門を丸ごと信託できる事業信託も認められるようになりました。旧来の制度では法人税回避の恐れがあったため、信託については、原則としてパス・スルー課税としつつ、税法上は法人課税信託を提示し、受託者の段階で次に掲げる信託については、信託にかかる所得について法人税を課する措置が講じられました。
・受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託
・受益者が存在しない信託
・法人で以下の要件のいずれかに該当する場合
(a) 当該法人の事業の全部又は重要な一部を信託し、その信託の効力が生じたとき、当該法人の株主等が取得する受益権のその信託にかかる全ての受益権に対する割合が50%を超えるものに該当することが見込まれていたこと
(b) その信託の効力発生等において、当該法人又は当該法人との間に特殊の関係のある者において関係のあるものが受託者であり、かつ当該効力発生時等以後の存続期間が20年を超えるものとされていたこと。
(c) その信託の効力が生じたときにおいて、当該法人又は当該法人の特殊関係者をその受託者と当該法人の特殊関係者をその受益者とし、かつ、そのときにおいて当該特殊関係者に対する収益の分配の割合の変更が可能である場合として政令で定める場合に該当したこと。

法人課税信託に該当する信託の受託者は、当該信託の信託資産等及び固有資産等ごとにそれぞれ別の者とみなされ、受託者の段階で当該信託にかかる所得について法人税が課されます。

B:受益者の定めのない目的信託
受益者が存在しない信託については法人課税信託として扱われ、その受託者は、当該信託の信託資産等及び固有資産ごとに、それぞれ別のものとみなされ、当該受託者の段階で当該信託にかかる所得について法人税が課されます。
また、相続税においても次のようになります。
(a) 受益者が存在しない信託の効力が生じる場合に、この信託の受益者となる者が信託の委託者の親族であるとき
→この信託の効力が生じるときに、受託者は委託者から権利を贈与してもらったものとします。
(b) 受益者の存在する信託で受益者がいなくなった場合において、これら受益者の次に受益者となる者が、これら信託の効力が生じたときに委託者、次に受益者となる者の前の受益者の親族であったとき
→受託者は次に受益者となる者の前の受益者から権利を贈与してもらったものとします。
(c) 上記(a)(b)の場合、これらの信託の受託者が個人以外であるとき
→この受託者を個人とします。
(d) 上記(a)(b)(c)の場合、(a)(b)の受託者に課される贈与又は相続税の額
→課されるべき法人税等の額に相当する金額を控除します。
(e) 受益者が存在しない信託でこの信託の契約締結等で、この信託の受益者となる場合に、この信託の受益者となる者がこの信託の契約締結時に委託者の親族であるとき
→この信託に関する権利を個人から贈与で取得したものとします。

C:受益者連続型信託
受益者連続型信託に関する権利を受益者が適正な対価を負担せずに取得した場合、この権利で、これら受益者連続型信託の利益を受ける期間の制限その他の当該受益者連続型信託に関する権利の価値に作用する要因としての制約があるものについては、当該制約はないものとみなします。
但し、当該受益者連続型信託に関する権利を有する者が法人である場合には、この限りではないとされます。

D:限定責任信託
この信託が受益証券を発行していない場合、その信託の性質によって、法人税法2条29号の2の法人課税信託の要件に合致していれば、法人課税信託となり、受託者の段階で法人税を課すことになります。

E:受益証券発行信託
受益証券発行信託については、原則として法人課税信託となり、次の要件を満たすものについては、特定受益証券発行信託として、集団投資信託となり、ペイ・スルー課税が適用されます。
(a) 信託事務につき政令で定める要件に該当するものであることについて政令で定めるところにより税務署長の承認を受けた法人が引き受けたものであること。
(b) 各計算期間終了のときにおける未分配の利益の額として政令で定めるところにより計算した金額のそのときにおける元本の総額の割合が、政令で定める割合を超えない旨の信託行為における定めがあること。
(c) 各計算期間開始のときにおいて、そのときまでに到来した利益留保割合の算定のときとして政令で定めるもののいずれにおいてもその算定された利益留保割合が(b)に規定する政令で定める割合を超えていないこと。
(d) その計算期間が一年を超えないこと。
(e) 受益者が存在しない信託に該当したことがないこと。

F:その他
新たな信託法によって多様な信託の利用が可能となり、租税回避スキームへの対応のため、特定受益者に該当する個人は、信託から生じる不動産所得を有する場合に、その年分の不動産所得の金額の計算上、特定受益者に該当する個人は信託において生じた不動産所得の総収入金額が不動産所得にかかる必要経費に満たない部分は損益通算できません。
また、法人が特定受益者に該当する場合、当該信託につき、その債務を弁済する責任の限度が実質的に信託財産の価額とされている場合には、当該事業年度の所得の金額の計算上、特定受益者に該当する法人が損金の額に算入できる信託における損失の額は、信託財産の帳簿価額までとなります。

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