パス・スルー課税のメリットやデメリット

パス・スルー課税が適用されるものとして、民法上の任意組合、匿名組合、投資事業有限責任組合、有限責任事業組合、信託等があります。また、パス・スルー課税とまではいかなくても、ペイ・スルー課税(配当損金算入方式の課税)が適用される投資法人や特定目的会社があります。

日本におけるファンドを課税形態で分類すると次のようになります。

 

パス・スルー型

民法上の任意組合、投資事業有限責任組合、有限責任事業組合、受益者等課税信託をビークルとしたファンド

準パス・スルー型

商法上の匿名組合をビークルとしたファンド

ペイ・スルー型

投資法人、特定目的会社をビークルとしたファンド

法人課税型

法人をビークルとしたファンド

複合型

上記を組み合わせたファンド

 

民法上の任意組合、投資事業有限責任組合及び有限責任事業組合は、アメリカのパートナーシップに類似するようなパス・スルー課税です。一方、匿名組合の課税方式はパス・スルー課税ではありません。一般的には匿名組合はパス・スルー課税として区分されておりますが、それとは若干異なるために、ここでは準パス・スルー課税として区分しましょう。

 

さて、パス・スルー課税について簡単に説明しておきましょう。出資をして株式会社にしてしまうと、そこで上げた利益を投資家に分配するためには、配当という形を取ることになります。そうなりますと、法人税を支払った後での利益から配当を受けるため、さらにその配当を受領した投資家は二重に課税されることになります。いわゆる法人段階と個人段階の二段階で課税されます。考えてみればちょっとバカバカしいですよね。そこでパス・スルー課税とは、上記の例での法人段階(厳密には事業体)では課税されず、個人段階(構成員)で初めて課税されるようなものを言います。従って、構成員は法人課税されないだけ、多くのリターンを享受できることになります。

 

事業体段階で利益が出た場合はもちろんのこと、仮に事業体段階で損失が出た場合には、デメリットじゃねえかと思うでしょうが、まず損失は通常、事業体段階で止まるものの、パス・スルー課税が適用される場合には、事業体の赤字も構成員にパス・スルーされることで、仮に構成員がこの事業体における事業以外で黒字の所得を持っていれば、構成員自身の黒字と、その損失事業体からパス・スルーされた赤字を損益通算することで、構成員段階での課税所得を減額し、その期の税額を減少させることができます。つまり節税メリットを享受できるのです。

 

デメリットもあります。例えば事業体における利益が現実に分配されていなくても、構成員の段階で課税されてしまいます。納税資金の確保が別途必要になるケースがあります。