タワーマンション節税の判例

ここで、追徴課税がされた、タワーマンション節税の判例を簡単に見ていきましょう。

平成19年7月に甲氏が病院に入院し、タワーマンションの高層階部分を2億9,300万円で購入しました。同年9月に甲氏は死亡しました。そして相続に伴い、遺族はタワーマンションの名義を甲氏から自分たちに変更、さらに遺族はこのタワーマンションを5,800万円で相続税の申告を行いました。ここで用いた計算は、土地は路線価、そして建物は固定資産税評価額となります。そのため、時価と比較すると相当安い金額になります。

 

平成20年7月に甲氏の遺族がタワーマンションを2億8,500万円で売却しました。考えても見ますと、減価償却をしているから当然ではありますが、売却損が出ていますね。それはともかく、相続資産として5,800万円しか申告していないマンションを翌年には2億8500万円で売却しています。単純計算して、相続資産を5分の1に圧縮していることになります。

 

従来であれば、国税が出している路線価と固定資産評価額に基づいて、相続税の計算をしていたから大丈夫だと思ったはずなのです。税理士としては。しかしこの遺族の相続税申告に対して、国税が追徴課税を課してきました。国税の言い分は、相続税評価は財産評価基本通達で評価するのではなく、時価のタワーマンションの購入価格で申告すべきだったというのです。我々一般庶民から見れば、国税の言い分の方が正しくしか聞こえません。ていいますか、そもそもこの評価をほったらかしているあんたらの方にも落ち度があるんじゃないのと言いたくなるくらいです。

 

最終的に、この事例は裁判で争われ、「このタワーマンションは、被相続人が死亡する前後の短期間に一時的に所有したに過ぎず、通常の財産とは違う。そういう財産について実際の価値を大きくかけ離れた資産評価をすることは、納税者間の公平を害する」としました。結局は、タワーマンションの購入価格である2億9,300万円で申告すべきとなったのです。

 

国税不服審判所から最高裁まで争われ、結局国税が勝訴したわけですが、まず財産評価基本通達の第6項には、次のような定めがあります。

「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」

 

そして最高裁の判決では「相続財産の評価においては、財産評価基本通達の定めにより評価することが原則であるが、それによらないことが相当と認められるような特別な事情がある場合は。他の合理的な時価の評価方法により評価することが認められている」としました。