投資事業有限責任組合とは

投資事業有限責任組合は、事業者に対する投資事業を行うための組合です。基本的に民法の任意組合の性格を継承しておりますが、アメリカのリミテッド・パートナーシップ法を参考にしています。以下において、投資事業有限責任組合の法務を概観します。

(1) 組成
基本的要件は、次の通りです。
(a) 投資事業有限責任組合契約で成立すること
(b) 無限責任組合員と有限責任組合員から構成されること

(2) 出資の種類と制限
金銭その他の財産のみを出資の目的とし、労務出資は認められていません。また、無限責任組合員を含めた全ての組合員に一口以上という最低限の義務を課し、各組合員の利益相反行為の可能性を小さくしています。

(3) 登記
名称には投資事業有限責任組合をつけなければなりません。また第三者に明示するために登記制度が作られました。

(4) 組織変更
既存の任意組合からの組織変更は、一度既存の任意組合を解散し、新たに投資事業有限責任組合契約を締結する必要があります。

(5) 事業範囲
(a) 投資等資金の供給に関する事業
(b) コンサルティング事業
(c) 外国法人への投資や他の投資事業有限責任組合等への出資
(d) 余裕金の運用

(6) 運営
無限責任組合員が業務執行者となります。そして無限責任組合員が総組合員の名前でなく、事故の名前で組合のために法律行為を行うことができます。

(7) 有限責任性
有限責任組合員は、その出資の価額を限度として組合の債務を弁済する責任を負います。組合員が出資金以上の責任を負わない有限責任を明確にするために、第三者対抗与件として登記が必要とされています。

(8) 損益の分配
民法674条「組合員の損益分配の割合」が準用されます。有限責任組合員の出資の履行額の合計を超えて負担した損失についての無限責任組合員の負担分の充当にまず当てられます。

(9) 情報開示
投資対象には、未上場株式への投資も含まれ、一般的にリスクの高い投資となりますから、有限責任組合員に対して、業務内容や財産状況に関する情報を開示することが必要となります。投資家保護の徹底のため以下の措置が講じられています。
(a) 財務諸表等の作成・備え置きの義務付け及び閲覧
組合運営に関する情報開示の規定も盛り込み、組合財産の運用について財務諸表等の作成、公認会計士や監査法人による監査報告書の組合事務所における備え付けが義務付けられています。また貸借対照表に記載される組合財産は時価評価で行います。

(b) 外部監査の義務付け
公認会計士や監査法人に意見書を書いてもらわなければなりません。

(10) 組合員の脱退
(a) 組合員の任意脱退
組合員はやむを得ない理由がなければ、脱退できません。組合員が自己都合で脱退を認めると利益を得た後で債務を追及される前に脱退することが想定され、責任財産の充実を損なうからです。ここでやむを得ない場合とは次のようなものを言います。
・無限責任組合員が組合契約に反した行為をして自己の利益が害された
・組合の事業方針の変更で組合員の利益が著しく害され共同経営をする耐えられない状況となった
・組合員が経営不振に陥り、組合への出資金を回収しなければ自らの事業を継続できない場合

(b) 組合員の非任意脱退
資格の喪失、死亡、破産、後見開始の審判を受けた、除名の発生で脱退の効果が発生します。また、組合員としての地位は相続対象にはなりません。

(11) 組合の解散や清算
(a) 解散
解散は以下の場合です。
・目的である事業の成功又は不能
・無限責任組合員又は有限責任組合員の全員の脱退
・存続期間の満了

(b) 清算
投資事業有限責任組合においては、無限責任組合員が清算人となります。清算では現務の結了、債権の取り立て、債務の弁済、残余財産の分配を行います。解散後の組合事業の責任については、解散雨と同様で、無限責任組合員が負います。