投資事業有限責任組合の所得税法の取り扱いについて

基本的には任意組合と同様の処理がなされますが、ここで国税庁からの取り扱い回答が示されているので、項目別に要約しておきましょう。

(1) 投資組合を通じて個人投資家が得た所得の区分
下記の要件がすべて充足され、投資組合契約書に記載されている場合には、出資者が公道で営利を目的として継続的に行う株式等の譲渡を行うものと位置づけられ、個人投資家が当該投資組合を通じて得た株式等の譲渡にかかる所得は、株雑所得又は株事業所得に該当します。
① 株式等への投資を主たる目的事業としている
② 各組合員において収益の区分把握が可能
③ 民法上の任意組合が前提とする共同事業性が担保されている
④ 投資組合が営利目的で組成されている
⑤ 投資対象が単一銘柄に限定されている
⑥ 投資組合の存続期間が概ね5年以上

(2) 個人投資家における投資組合の運営経費等の税務上の取り扱い
上記①~⑤の要件を充足する場合、株式等の譲渡にかかる所得は株雑所得等に該当し、個人投資家は組合運営上発生する経費を必要経費として控除できます。

(a) 無限責任組合員等に対する管理報酬
無限責任組合員に対する管理報酬は、投資組合の主たる目的事業を行うために組成された投資組合の運営費用として毎期徴収されるもので、その金額は投資組合の純資産額や出資約束金額の一定率とするのが通常です。
この管理報酬は投資組合の規模に応じて発生する義務的経費と言えます。そして、必要経費として控除している場合には合理的な処理として認められます。この必要経費の中には、監査報酬等の費用も入ります。
なお、投資組合で株式等の譲渡収入がない事業年度においても。株式等の譲渡収入を得るための必要経費であるため、各個人投資家の株式等の譲渡にかかる他の所得と通算が可能です。

(b) 無限責任組合員等に対する成功報酬
成功報酬の計算規定は投資組合契約によって様々ですが、各種所得の計算上、必要経費として控除すべき金額は成功報酬の金額が投資組合の目的とする事業ごとに行われるか否かによってそれぞれ以下のように取り扱うことができます。

・成功報酬の計算が投資組合の目的とする事業単位で行われる場合

この場合、成功報酬と事業との対応関係が明確なため、成功報酬はその計算対象となった事業にかかる経費として扱うことになります。例えば、キャピタルゲインを対象に成功報酬を算出することとしている場合には、株雑所得等の計算上、必要経費として控除します。

・成功報酬の計算が投資組合活動から生じた収入全体を対象として算出することとしている場合

この場合、成功報酬は主たる事業からの収入獲得に間接的に貢献しているため、管理報酬と同等の性質を持ちます。このとき、投資組合が主たる目的とする各事業にかかる成功報酬の金額をそれぞれ計算して、管理報酬に準じた方法で、必要経費として控除します。

(c) 株式等にかかる所得を算定する上での留意事項

個人投資家の株式等にかかる譲渡所得の計算に当たって、適用される税率や損失の繰り越しについて取り扱い等が異なる区分ごとに収入金額及び取得費等の金額を計算することが必要となります。投資組合契約で銘柄ごとにキャピタルゲインの一定割合を無限責任組合員等が受領することとしている等、個々の株式売却取引と個別的な対応関係が明確な場合は、これら費用はその原因となった株式売却取引に対応する必要経費として取り扱うことになります。
管理報酬等の費用については、株雑所得等の獲得のための必要間接費ですから、組合の運営成果である株式売却収入に対応されることが合理的です。なお、所得税は暦年計算(1月~12月)をするのが原則ですが、暦年以外の計算期間で決算をする組合については困難となるため、組合の計算期間の終了の日を含む組合員の決算期の損益と計算することになります。

なお、投資事業有限責任組合自体の確定申告書の提出は不要であり、組合で稼得された所得や損失については、各組合員に当該組合から配分された所得又は損失を各組合員の段階でその他の所得と合算又は通算して個々に申告します。