保険商品は、国税とのいたちごっこ?

もちろん、保険会社も政治家も官僚もあんまり露骨なことをしすぎるわけにもいきませんから、国税当局としては、節税商品が広まると新しい法律を作って抜け道を防ぎます。それで法律を見て、保険会社も負けじと新しい節税商品を開発する、そういったイタチごっこが続いております。

一番、保険会社にとって実入りがいいのは、相続税対策用の節税商品です。ある資産家が生命保険に加入します。この生命保険をその資産家が生きている間に親族に贈与します。つまり受取人が、資産家から資産家の親族に移ります。生命保険を譲渡する場合には、当然のことながら贈与税がかかります。生命保険の場合、贈与した時点の解約返戻金が贈与税の対象となります。そこで、この生命保険は期間の途中での解約返戻金は異常に低く設定して、満期になって満期返戻金をもらうときにその額が跳ね上がる商品となっているのです。

そのため、解約返戻金が非常に低い時期に贈与することで贈与税がほとんどかからなくなります。さらに満期が来たときに、前納した金額がそのまま親族の手元に入るというわけです。このスキームを用いれば、相続税や贈与税を支払うことなく、大きな資産を親族に移転することができます。

数字で説明しましょうか。15年満期の3億円の保険に加入します。加入時点での満期での受取人は資産家本人で、掛け金は加入時に一括前納します。この生命保険の加入後14年目に息子に譲渡します。仮にこのときの解約返戻金を1,000万円となる保険商品とすれば、1,000万円に贈与税がかかります。控除はさておき40%の税率がかかります。3億円だったら55%の税金。どちらが安く済むかは明白ですね。税率というだけではなく、税額で計算するのです。そして3億円の掛け金も前納していますが、これは保険期間15年分の保険料です。前納していても保険期間が来ていない部分については、保険の掛け金ではなく、預け金という扱いになります。預け金は贈与資産としてカウントされてしまいますので、初期で贈与してしまいますと保険期間未経過の前払い保険料が大きな金額となりますから、それに贈与税がかけられてしまいます。ですので、満期直前に贈与するのがコツです。

このような生命保険を用いた場合、生前に自分の資産を家族に贈与することで相続税を支払わなくて済むのです。一般人には到底納得しずらいことではありますが、法の抜け穴を巧みについて合法的に行っているのですから始末に負えません。法の抜け穴を突くためには、優秀な弁護士、財力のある生命保険会社、それを黙認するお上、とこれだけの登場人物が必要になるでしょう。

言いたいことは、この連中に対して、「お主悪よのう~」とか「不公平極まりない」ということではないのです、我々も、お金持ちになった後で、こういったことを知って利用すればいいだけです。