事業承継税制があまり使われていない理由とは

事業承継税制は、実はあまり使われていません。その最大の理由は、事業承継税制は、認定してもらうために手間がかかるということ、そして別にこの税制を利用しなくても、会社経営者の相続税には様々な抜け道があるということです。

そもそも事業承継税制を使ったところで、無税で相続できるのは、会社の株の3分の2まで(特例を用いれば100%可能)です。

今現在の会社の経営者が用いている相続税対策は、会社の資産価値を減少させることです。それはすなわち、株式の価値を減少させれば済みます。さて、非上場株を相続する場合の相続税評価額は、通常次のような考え方になります。

非上場会社の株式価値=会社の資産価値=会社の資産―会社の負債

負債があれば、その分資産価値を差し引くことができます。また、日本の非上場企業の大半が帳簿上赤字になっています。それはあくまでも帳簿上であり、赤字を続けながら存続している会社が多くあります。本当に儲かっている会社は銀行借り入れの必要がありません。ですから、可能であれば赤字にしてしまえます。本当に儲かっていない会社の方が銀行借り入れの必要があります。ですから可能であれば黒字にしたいものです。

非上場企業の場合、株価の心配をする必要がないため、無理に利益を出す必要はありません。利益を出すと法人税や法人事業税等の税金がかかってくるので、利益が出ないように調整してわざわざ赤字にしている会社も少なくないのです。別に粉飾という意味ではありません。オーナー社長の会社では色々な経費を会社経費とすることで、帳簿上赤字にすることが可能なのです。もちろんどんな費用でも会社費用になるわけではありません。会社の事業に関連した費用のみです。あと、役員報酬で赤字にすることもできます。但し、役員報酬を取るということは、所得税という形で納税していることになります。ここでは深く言及しませんが、会社として利益を出して法人税で払った方がいいのか、会社の利益を消すために、役員報酬という形で費用をかけて、個人所得税を払った方がいいのかは、計算してみてお得な方を選択する必要があるでしょう。

会社の事業に関連していれば、会社の費用とすることができますから、経営者一族の経費が上がっているということがよくあります。中には、こんなもの事業性に関連ないのになあ~と思っていても、経理マンとしてはうまく処理しなければなりません。そして、それが事業に関連する費用であることと論理的に税務署に説明する必要があります。それが経理マンの本当の腕の見せどころと言う奴です。