孫を養子にすると相続税が軽くなる?

法定相続人を増やせば、支払う相続税の金額が減ることはわかりました。それでは孫を養子にするのは、単なる数の問題でしょうか。実は法定相続人数の他にもメリットがあります。

通常相続は親子の間で完結します。親が死ねばその子供に、その子供の子供にと財産が移転していきます。そのため、孫に相続されるときは、一度子供が相続し、その子供が死んだときになります。つまり孫が相続を受けるということは、子供のときに一度相続税を支払って、さらに親から財産を受け取った子供が死んで、もう一度相続税を支払った後の残りかすとなります。二度相続税を支払うのですから、それだけ少なくなってしまいます。100あったものが20や30になってしまうこともよくあることでしょう。そのため、孫を養子にすることで、相続税を1回分払わずに済むことになります。これは資産家にとってはものすごくメリットになります。

ただ、相続税というお国にとっての税収が減るわけですから、養子の場合にはそれなりに相続人にデメリットとなることの一つくらいはないと、今一つバランスが悪いという考え方もあっても仕方がありません。そのバランスを取るために、親子関係以外の法定相続人の場合、相続税は2割加算するという制度があります。バランスといっても養子だから身分が低いとかそういうバランスではなく、国税当局と相続人のバランスという意味です。身分による差別をしているわけではありませんのであしからず。

厳密には養子であるか否かに関わらず、親子関係以外の法定相続人であれば全て適用されるので、けっして差別的な取り扱いをする制度ではありません。例えば、相続人が実子2名、養子1名で、基礎控除後の相続人一人当たりの相続税対象資産が1,000万円だったとします。このとき、税率は10%となります。そうすると一人当たり納税額が100万円と計算されますが、実子2名はこれで良いとして、養子はこの100万円に2割加算されるため、120万円が納めるべき相続税となります。

相続税は数億円単位で課税される場合もあるため、2割加算となるとそれなりの負担となることがあります。しかし孫を養子として2割加算して払ったとしても、相続税を1回回避できることが、資産家にとって節税につながるケースもあることでしょう。

よくどんなに資産家であったとしても、3代で資産はなくなる(相続税があるため)と言われますが、確かに遠からずいえることでしょう。資産が数十億円あるような場合には、孫を養子にするスキームを使えば、かなりの節税になることは間違いありません。有名人と言えば、ビートたけしさんも孫を養子にしたとニュースがありました。きっと聡明なたけしさんのことですから、人情的な部分というよりは、金銭的な頭が働いたというのが本当のところでしょう。決して批判すべきことではありません。ある制度を使ったまでの話です。