アメリカLPSのわが国税法上の性格が争われた事案

アメリカLPSが日本の税法上も法人かどうかで争われた事件の判例です。

1.事案の概要

居住者Xらは、それぞれ外国信託銀行である本件各受託銀行との間で本件各受託銀行を受託者とする本件各信託契約を締結し、本件各受託銀行は、自らリミテッド・パートナー(LP)となり、ゼネラル・パートナー(GP)との間で、アメリカのリミテッド・パートナーシップ(LPS)を組成しました。そして本件各LPSに対して、本件各信託契約に基づいて拠出されたXらの現金資産を出資し、本件各LPSにおいて、アメリカ所在の中古集合住宅である本件各建物の購入・賃貸等の管理運営を内容とする海外不動産投資事業を行いました。Xらが本件各建物の貸し付けにかかる所得が不動産所得に当たり、減価償却費などを計算すると損失の金額が生じ、損益通算をして確定申告を提出しました。処分庁から本件各建物の貸し付けにかかる所得は不動産所得に該当しないとして所得税の更正処分を受けました。

2.争点

本件各LPSが我が国の租税法上の法人に該当するか。

3.判決要旨

外国の事業体が、わが国の租税法上の法人に該当するかどうかを判断するにあたっては、この事業体が①その構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有すること、②その名において契約等の法律行為を行い、その名において権利を有し義務を負うことができるという能力等を有するかどうかにより判断することが相当、手続法的には③訴訟上の当事者能力を有することができるか。

以上によると、本件各LPSの財産につき、パートナーとの共有とされておらず、また、本件各LPSの名において不動産等の登録をすることができるため、その構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有すること、本件各LPSの負債、債務、及び義務について個人的にせ金員を、その名において本件各売買契約や本件土地賃貸借契約等を締結しており、本件各LPSがその名において契約等の法律行為を行って、権利を有し義務を負うことと認められること、そして契約書では、各LPSが訴訟を行う権限を有しているとされていることから、本件各LPSは自然人以外のもので、権利義務の主体となることのできるものであり、わが国の租税法上の法人に該当すると認められます。
(平成22年12月17日大阪地裁判決)

同一内容の事案でありながら、上記大阪地裁と下記東京地裁では判断が分かれました。

日米租税条約によると、英単語と我が国の概念は次の通りとなります。
Company:法人
Corporate:法人格を有する
Entity:団体
Partnership:法人には含まれないと解する(組合)

ちなみに州LPS法201条(b)の「Separate Legal Entity」は法人とは同一の概念ではありません。そしてLPS法に準拠して作られたLPSは、その事業の損益をパートナーに直接帰属されることを目的とするものであるといわざるを得ません。従いまして、本件LPSはわが国租税法上の法人に該当しないとは認められません

以前のニューヨーク州のLLCが法人と解されたからと言って、LPSを法人と解することはできません。LPSとはまた概念を異にします。
(平成23年7月19日東京地裁判決)