アメリカのパートナーシップで上げ、恒久的施設があったかどうかで争われた判例です。
1.事案の概要
日本法人X社はアメリカにおいてリミテッド・パートナーとしてパートナーシップ契約を締結しました。X社がこのパートナーシップを通じて得た所得について、X社が日米租税条約9条所定の恒久的施設を有する場合には、法人事業税の課税標準とすべき所得から控除することが認められるため、これらを所得から控除しました。課税庁はパートナーシップ持ち分の取得自体やパートナーシップの施設に持ち分を有すること等で「恒久的施設」を持っているとはいえないとして、更正処分を行いました。
2.争点
アメリカのリミテッド・パートナーシップ契約における恒久的施設の有無
3.判決要旨
原告は、アメリカにおいて「産業上又は商業上の活動」を行っているということはできず、原告の主張する事務所は、ゼネラル・パートナーが保有し活動している事務所にすぎず、原告の「事業を行う一定の場所」にはあたりません。そもそもこの事務所に原告の名前が使用されておらず、賃貸契約書にも原告の名前は見当たりません。よって、日米租税条約第9条(4)に規定する代理人恒久的施設の存在も認められません。
以上より、事業税の課税対象から控除を受けるための条件である恒久的施設を有しているといえないので、本件所得は法人事業税の課税標準となる所得に含まれます。
(東京地裁平成17年1月20日判決)