ニューヨークLLCを日本の税法上の法人と認定した事案

ニューヨーク州のLLCが日本の税法上の法人とされた事件の判例です。

1.事案の概要

日本の個人Xがアメリカニューヨーク州法に基づいて、組成されたLLCの行った不動産賃貸業にかかる収支、預金利息収入をXの不動産所得及び雑所得として、所得税の確定申告をしたが、課税庁がLLCが行う不動産賃貸業による生じた損益は法人としてのLLCに属するもので、Xの課税所得の範囲に含まれず、Xが受け取った分配金はXの配当所得となるとして更正処分を行いました。

2.争点

アメリカニューヨーク州法に基づき組成されたLLCが日本の外国法人に該当するかどうか。

3.判決要旨

本件LLCは、アメリカニューヨーク州法上法人格を有する団体であり、日本の法人に該当すると考えるのが妥当であって、本件分配金は、剰余金をその出資者である原告に利益の配分として分配したものと考えるのが相当であるから、原告の配当所得に該当します。

原告の主張によると、ニューヨーク州のLLCは有限責任性、構成員課税を採用している点で、日本版LLCではなく、むしろ有限責任事業組合に当たり、わが国租税法上の法人に該当しないと主張していますが、そのように解すると組合自体の名義で財産を所有したり契約を締結することはできず、ニューヨーク州のLLCが法人の名において契約を締結したり、法人印を使用している点から、原告等から独立した法的実在として存在しています。

それ故、本件LLCはニューヨーク州法上法人格を有する団体であって、わが国における法人に該当します。
(さいたま地裁平成19年5月16日判決)

本件LLCがパートナーシップ(組合)的規律を採用しているから外国法人とはいえないと主張していますが、本件LLCは訴訟手続きの当事者となることや不動産などを取得し、その財産の全部または一部を処分するなどの広範囲な権能を有しており、自然人と異なる人格があり、独立した法的実在として存在しているため、わが国の司法上の法人に該当するのが相当といえます。

また、アメリカにおいてチェック・ザ・ボックス規則が施行され、法人として課税を受けるか、パートナーシップとして課税を受けるかを選択できるようになっていますが、その結果によって、本件LLCが権利や義務の主体となる法律上の資格が与えられているかの判断基準になるものとは言えません。
(東京高裁平成19年10月10日判決)