映画フィルム投資組合事件

映画投資で減価償却が認められるか、について争われた事件の判例です。

1.事件の概要

X(原告)は不動産の売買、仲介及び管理を事業とする法人です。Xは民法上の任意組合である映画フィルム投資事業組合に参加しました。この組合の75%は償還期間7年の借入金、25%は組合の出資金となっています。また、組合は映画フィルム賃貸及び配給契約の内容に基づいて、全世界からの映画収入の10%(変動レンタル料)、映画フィルムの興行収入から工業に要した費用等を差し引いた額(調整レンタル料)を支払います。加えて、7年間の組合への支払累計額が定めた金額に満たないときは、この最低保証額と既に支払われた合計調整レンタル料との差額を保証します。

そして、Xは組合で取得した映画フィルムを資産(器具備品)に計上して、減価償却(耐用年数2年)を行いました。

2.争点

映画投資で減価償却が認められるか。

3.判決要旨

アメリカの映画制作会社の意思は、本件映画に関する権利の根幹部分を保有したままで資金調達を図ることに合って、組合自体は租税負担の回避と図るためと認められます。組合員のXの出資金は、実質的には、本件組合を通じて、アメリカの映画制作会社の映画の興行に対する融資を行ったもので、本件組合員は本件取引で所有権を取得したわけではなく、組合員の租税負担を回避する目的のために、本件取引に関する契約書上、本件組合が本件映画の所有権を取得するという形式が用いられただけにすぎません。このように考えますと、本件映画を本件組合の減価償却資産に当たると考えて、減価償却費を損金の額に算入することは妥当とは言えません。その根拠は次の通りです。

(a) 本件組合は、売買契約と同時にアメリカの企業との間で本件配給契約を締結し、様々な権利が与えられ、当該アメリカの企業の権利は、本件配給契約の解除や終了等により影響を受けず、契約上の地位等の譲渡もできます。本件映画に関する権利を取得できる購入選択権も有します。

(b) 当該アメリカの企業が契約上の義務に違反しても権利の制限を受けることもありません。

(c) 組合が銀行に返済すべき金額は、当該アメリカ企業が購入選択権を行使した場合に、本件映画の興行収入の大小を問わずに保険組合に対して最低限支払うべきものとなり、

(d) 原告Xはそもそも不動産業者であって、従来、映画の製作、配給等の事業に関与したことがありません。

原告Xは投資家としてのリスクを負っていない立ち位置であるという点もあり、さらに本件映画の配給事業自体がもたらす収益について関心を持っていなかったことを考えれば、本件映画は、この組合の事業において収益を生む源泉であるとすることはできず、減価償却資産に当たらないとしました。
(上告審 最高裁判所第三小法廷平成18年1月24日判決)