投資クラブが匿名組合と認定された事件

投資クラブにおける株式の運用益はクラブのメンバーに帰属するかどうかについて争われた事件の判例です。

1.事件の概要

アメリカ企業への投資を行う投資クラブがあり、原告Xはそのクラブの会員でした。そのメンバーは主に原告Xの勤務先等の一定の役職以上で構成されていました。さて、原告Xはクラブからの分配を受けて、申告分離課税となる株式等の譲渡所得として確定申告をしたところ、運用益の分配は、原告Xの行った投資行為であって、X自身の株式等の譲渡行為ではないとし、総合課税の雑所得に該当するとしました。

2.争点

投資クラブにおける株式の運用益はクラブのメンバーに帰属するかどうか。

3.判決要旨

本件出資金は、アメリカ有望企業等への投資を通じてキャピタルゲインを獲得するという投資事業に対して拠出されました。原告Xの所属する会社は投資業務を行っており、本件出資にかかる投資実行に関する判断は、当該会社の社長など幹部が行い、出資金の管理等は当該会社の子会社の管理部門が担当し、原告自体も共同して当該事業を営む立場にない単なる出資者にすぎませんでした。

そうなりますと、本件は、当該企業を営業者、本件出資金の出資者を匿名組合員とする匿名組合契約が成立し、本件所得は当該匿名組合契約に基づく利益の分配によるものと認められます。

本件組合規約には、民法第667条1項の規定に基づく組合とする、正当な事由があれば業務執行者を解任できる定めがありますが、投資の決定は毎月1回以上開催する総会で多数決で行いとか、運用損益は総会で再投資や配当を決定するとしながらも、総会における決定はなされていなかったため、民法上の組合契約が成立していたとは認められません。

本件出資金を本業の投資とは峻別管理していたと原告が主張していますが、個人レベルでも目的用途に応じて峻別管理は通常しているため、管理上の区別があるからと言って、財産権の帰属が別になるとはいいがたいものです。

以上のように、本件所得は匿名組合契約に基づく利益の分配によるものであり、当該匿名組合契約の匿名組合員は営業車の事業を共同して営む立場にない単なる出資者であるから、本件投資行為を匿名組合員自身が行った株式等の譲渡行為とすることはできず、本件所得は、営業者の営業に対する出資の対価としての性質をもっています。従って、本件所得は株式等の譲渡による所得とは言えないため、株式等にかかる譲渡所得には当たりません。

また、原告の出資行為について原告自身の事業とみることもできないため、一時所得や事業所得に該当するものではなく、当然、利子所得、配当所得、不動産所得、給与所得、等にも該当しないため、雑所得に該当することになります。
(東京高裁平成19年10月30日判決)