ケイマン・パートナーシップの本邦税法上の性格が争われた事案②

ケイマン・パートナーシップが、日本の任意組合に当たるかが争われた事件の判例です。

1.事案の概要

原告Xとその妻C(死亡)が組合員となっていた民法上の組合(任意組合)として行った船舶賃貸事業にかかる収益及び各船舶の減価償却費等を不動産所得にかかる総収入金額及び必要経費にそれぞれ参入し、その結果生じた多額の損失を他の所得と損益通算して所得税の各確定申告を行いました。課税庁はこれは利益配当契約であるとして雑所得であり損益通算は認められないとして更正処分を行いました。

また相続財産を船舶ではなく利益配当契約に基づく配当請求権であるとして、収益分配額の現在価値に置き換えて相続財産を評価しました。

2.争点

本件各LPSが我が国の民法上の任意組合に該当するか。

3.判決要旨

任意組合の成立条件は、2人以上の当事者の存在、各当事者が出資することの合意、共同事業を営むことの合意です。

パートナーシップ法46条2項によると、無限責任(ゼネラル)パートナーと有限責任(リミテッド)パートナーを必要とします。ゼネラル・パートナーが100円しか出資していないので、形式にすぎないとしていますが、出資の合意をしたうえで金銭の出資がされている事実は否定できません。

また、リミテッド・パートナーシップ法7条によると、リミテッド・パートナーは業務執行できないとされており、ゼネラル・パートナーが同業務執行をすることになり、労務を出資していると解することができます。これはゼネラル・パートナーに対して労務による出資を禁止していると解釈することはできません。
匿名組合契約は営業者が出資と考える余地がなく、任意組合は労務等を持って出資でき、業務執行組合員を選任できます。

まず、パートナーシップ法第3条に「パートナーシップとは、収益を目的として共同で事業を営む人の間に存在する関係である」とし、ゼネラル・パートナーに権限が集中しているとはいえ、リミテッド・パートナーには、会計や業務に関する検査権、ゼネラル・パートナーの解任権があるため、共同事業性が認められます。

そもそも任意組合においても、組合員が業務執行組合員を選任した場合には、組合の業務執行が同組合員に集中します。

以上によると、本件各リミテッド・パートナーシップは、出資の合意、履行及び共同事業目的の合意等が認められるため、日本法における任意組合に相当すると解することができます。
(岐阜地方裁判所平成20年1月24日判決)