民法上の組合契約の事業が匿名組合契約による事業とされた事案

民法上の組合契約による不動産事業は匿名組合契約の事業かどうか、について争われた事件の判例です。

1.事案の概要

X社は不動産の売買及びあっせん、アパートの経営等を行う法人であり、複数の出資者との間で共同で土地の取得、利用、譲渡を行う民法上の組合契約を締結し、出資者はXの営業のために出資を行い、出資額に応じて利益の分配を受けることとなっていた。課税庁はこの契約は民法上の組合契約ではなく、商法上の匿名組合として、X社に譲渡利益の全てが帰属するとして更正処分を行いました。

2.争点

民法上の組合契約による不動産事業は匿名組合契約の事業かどうか。

3.判決要旨

出資者は金員を出損してそれに応じた利益金の分配を受けることになっているが、土地の購入、利用及び譲渡はX社が行うことになっています。実際は匿名組合契約とは名ばかりで、契約書の表題は金銭消費貸借契約書となっていたこともり、Xの行う不動産の利用、譲渡等の営業から生ずる不確定な利益を分配することを約していることからしても、民法上の組合契約とは言い難いものです。

Xは資金不足が生じた場合に別途協議する旨が契約書に記載していることで、民法上の組合契約であると主張しますが、資金不足が生じたときに別途協議をして対応することは特段の契約条項を設けるまでもなく当然のことです。

そして契約書の体裁や文言、内容に照らし合わせて考えますと土地取引の関与はXが代表して行ったに過ぎないとえます。

また、原告は労務出資をして、利益分配の際に利益の25%を原告に留保する定めが商法上の匿名組合ではないと主張しますが、一企業体である以上利益の一定割合を留保し、その中から原則自身の諸経費を支出し、残余を社内留保し、その経済的基盤の基盤の強化を図ることは当然のことであって、現金を出資したものに対する分配金は出資割合に応じて厳格に計算されているにもかかわらず、原告の労務自体に対しては割合や金額が明示されていないことを考えれば、前期利益の一部留保をもって原告の労務出資が前提となっていたということはできません。
また、出資相続が約定されていること、特定の不動産を対象として事業の内容が限定されていること等は、この契約を商法上の匿名組合であると認めることの妨げにはなりません。名古屋地裁は上記理由から、当該契約は匿名組合契約に該当するものとしました。
(名古屋地裁平成2年5月18日判決)