匿名組合契約かそれに準ずる契約かが争われた事案

破産者が出資者に支払った利益の分配金は匿名組合契約の分配金となるかどうかについて争われた事件の判例です。

1.事案の概要

訴外A(破産者)は、不特定多数人から資金を受け入れて事業を経営し、他に出資していましたが、破産を宣告され、原告Xは破産管財人として選任されました。課税庁は原告らに対して、破産者が匿名組合契約に基づく利益の分配金を支給したとして、源泉徴収所得税や加算税を徴収すると原告らに通知しました。

2.争点

破産者がNH経済会なる名称で事業を経営するにあたって不特定多数から資金を受け入れるためにこれらの者と締結した契約が匿名組合やこれに準ずる契約に該当するか、破産者がこれら契約に基づいて出資者に支払った支給金について、匿名組合契約等に基づく利益の分配金として同法第41条、第42条第3項の規定によって所得税の源泉徴収納付義務があるかどうか。

3.判決要旨

宣伝のリーフレットには、出資金額5,000円以上、期間は3か月以上で毎月5%の割合で配当が行わる旨が記載されており、出資者は有利な利殖法であると考えて入会していたと思われます。そして会の事業内容やそのせい先に格別の関心もなく、積極的に関与する意図もありません。いわゆる事業の成果とは無関係に出資額と期間に応じて一定率による金銭を配当金という名目で受け取る契約にほかならず、このような契約が商法上の匿名組合に該当しないことは明らかです。
税務署長が破産者の出資者らに対して支払った配当金を所得税法上の匿名組合契約等に基づく利益の分配金に該当するものとして、破産者に源泉徴収義務ありとして行った課税処分は違法と言えます。
(東京地裁昭和38年10月10日判決)

課税庁が破産者の出資者らに対して支払った配当金を所得税法上の匿名組合契約等に基づく利益の分配金に当たるとして破産者に源泉徴収義務ありとしてした本件課税処分は違法であり、取消は免れませんが、破産者と出資者らが商法上の匿名組合の形式をとっていたことや、NH経済会の組織運営が複雑で出資契約の内容を正確に把握することが困難で、・・・賦課処分の違法は、これらの処分が当然に無効というほど明確なものとすることはできません
(東京高裁昭和43年2月28日判決)

最終的に最高裁第二小法廷昭和48年9月28日判決で、賦課処分は納税の告知にすぎず、公定力を有する行政処分ではないとしました。いわゆる処分は無効ではないという高裁判決を支持しています。
(上告審 最高裁判所第三小法廷平成18年1月24日判決)