航空機リース投資組合事件

航空機リース投資組合が民法の任意組合に当たるかどうかについて争われた事件の判例です。

1.事件の概要

航空機リース事業を行う民法上の組合への投資に対する減価償却費等を必要経費に計上して所得税の確定申告を行った投資家に対して、課税当局がその投資契約は民法上の組合契約ではなく利益配当契約であって、航空機リースによる所得は雑所得として損益通算を認めなかったために争いになりました。この契約は個人投資家からの出資金と金融機関からの借入金で航空機を購入し、航空会社にリースします。そしてこのリース料収入を借入金の返済に充て、残余分を組合員に分配し、されにリース期間終了後は航空機を売却し、借り入れ残額の返済に充てた後、残余分は組合員に分配する契約になっています。

本件は個人投資家の組合投資に関する航空機リース事業の事業形態と所得区分が争点となった事案です。最終的には納税者が勝訴しています。

2.争点

本件組合は民法の任意組合に当たるかどうか。

3.判決要旨

(a) ある組合員がその出資額を超えて損失を負担しないという合意があれば、その効力を否定する理由はないし、・・・(それをもって)当該組合契約が民法上の組合契約の性格を失うものではありません。

(b) 本件各航空機を売却する際には、出資割合の過半数を有する組合員の同意が必要となっており、一般組合員が所有権の機能の「処分」機能を有しており、各航空機が本件各業務執行会社の単独所有に属するという国税庁の主張は採用できません。

(c) 民法上でも、業務の執行を特定のものに委任することを認めており(670条2項)、特定の組合員に業務執行を委ねたからと言って、本件組合の共同事業性を否定することはできません。

(d) 法律行為の解釈は、当事者の意思を探求するものではあるが、その意思表示は専ら表示行為を介してなされるため、締結した契約がどんなものであったかを判断するにあたって、民法上の契約類型を選択したことを前提として表示行為の解釈を行うのは当然というべき。

(e) 通常は、租税負担を伴わないかあるいはそれを軽減する動機で何らかの契約を締結することは自然であり、合理的です。単に動機等の主観的要素を持って、当事者が行った法律行為を否定することが妥当ではありません。

(f) 勧誘パンフレットに法人向け投資家の案内があっても、法人向けと個人向けでリース事業の仕組み自体が異なるという証拠はありません。しかもパンフレット内の投資効果に関する試算表の結果が条件次第でキャッシュ・フロー・ベースでも高額の利益を得ることが可能であることを示しているだけであって、利益を得ることが可能であると判断するものではないので、個人投資家がキャッシュ・フロー・ベースで利益を上げられると認められるとは言えません。

(g) 本件各事業において、民法上の組合契約の法形式が通常用いられないものであるとはいえないので、契約の文言解釈を中心として当事者の意思の探求を行うのが相当であり、納税者の検査権及び否認権が排除されておりません。

(h) 結果として、各組合契約は民法上の組合契約の成立要件を充足し、利益配当契約と認めることはできない、として、控訴審にて納税者の勝訴が確定しました。
(名古屋高裁平成17年10月27日判決)