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リスクを小さくする一つの方法は、たくさんやってみること

未来が収束解に向かっていかないことを想定すると、ビジネスでやらなければならないことは、複数シナリオを考えることと、複数のオプションをどちらも手掛けていくということではないでしょうか。

そうは言っても飲食店や美容室ですと、複数シナリオとか複数オプションというのは考えづらいですね。業種にもよるでしょう。大きなビジネスですが、製薬業界の薬剤開発においては、複数シナリオが用いられています。自社が自分の意思で選択できる行動をいくつか、そして自社が取った行動の結果として起こり得る事象をいくつか、考えておき、起こり得るリスクとそれに対して取りえるアクションを整理していきます。

製薬会社では化学式を考えながら試験管で実験する段階から、マウスを使った実験に進み、モルモット、犬、より人間に近い猿、最後に人間で治験するというように、非常に長い研究開発期間を要します。数年から十年くらいかかることもあるのです。この間に実験・治験の結果、効果がどの程度検証できたのか、あるいは副作用がどの程度になるかが確認できたのか等、様々なシナリオを考えます。

さらに競合他社が先に類似品を開発してしまった、ある国の医療基準が格段に引きあがったと言った、外部環境に関して起こりうるシナリオを複数想定します。例えば、あるシナリオが実際に起こったら、何億円かの追加投資を行って開発スピードを高めるか、そしてこのときの費用、予想売上や予想売上をどのように想定するのかを考えます。

このときにベストシナリオだけではなく、ワーストシナリオも考えておくことです。担当者は望む期待シナリオを設定することが多いのですが、ダウンサイド・リスクに備えるために必要です。

リスクの対応の方法としては、複数案を一つにするのではなくて、その複数案に全部投資するという方法もあります。

例えば、1990年代後半に家庭にある家電の多くがネットにつながれて、これまでとは異なるネット家電の世界が到来すると言われていました。このときに家庭にある家電群をコントロールするハブが何になるかがわかっていなかったので、ソニーは全部に手を付けました。テレビはVEGA、ゲームはプレステ、PCはVAIO、その他モバイル等。つまり、どれが来ても対応できるように複数のオプションをすべて手掛けました。

このような方法であれば、確実にリスクを分散できますが、当然同時に資源を投下するので、中途半端になって、虻蜂取らずということになってしまうかもしれません。経営資源の豊富な企業でないと無理な戦略です。

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