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量より質の変化が大切なとき

成熟期には、マニュアル化による技術低下、人材の質の低下が起こり、製品やサービスの低下につながります。そして上層部が、富を得たことによって傲慢になり、あるいは油断し、今後もこの調子で成長すると思い込んでしまいます。そうなると社会の変化が読み取れなくなるのです。人の心や社会は常に変化するものですが、自分たちが変わらないうちにいつの間にか時代錯誤に陥ってしまいます。ニーズが増えて市場が拡大すると、さらに生産力を高めることで、もっと売れると思うものですが、そのうち世の中のニーズと自分たちが提供する者が大きくかけ離れていることに気づきます。そうして気づいたときには時すでに遅し、売上が落ちる原因ともなるのです。

日本の造船業は「安ければいい」と突っ走って、1973年のオイルショックで世界的に造船の注文が激減して、日本の船舶生産量も数年の間にピーク時の3分の1に落ち込んだそうです。これに対してヨーロッパのLNG船は、量産はできないものの、高度な技術を用いて作られ、「せっかくなので良いものを買いたい」というニーズに合致していました。当時は安く作ることに専念していた日本の造船業は、すぐさま質の高い造船に切り替えることが難しかったようです。結局はお客様のニーズを読み取れなかったため没落を余儀なくされました。

次に日本の鉄鋼業も、一時期全世界シェアの3分の1になっていましたが、他の国(ブラジル)で日本の価格の半額以下での安価な鉄が売られるようになり、事態が急変します。特に自動車をはじめとした国内の機械産業は、国内の鉄の供給に依存していましたが、急には外からの鉄の輸入に切り替えるのは容易ではありません。

鉄鋼業が高い理由は、その当時、高学歴エリートを入社させ、高い人件費を支払わなければならなくなった構造にもあります。人気の産業には、入社ニーズが高まり、人を選ぶと優秀な人がいいとして、高学歴の人材を新規採用し、そういう人たちに高い給料を支払って(年功序列と終身雇用という意味で)、高コスト体質を作り上げてしまいました。今でいうと、銀行は最たる例だったでしょう。もう崩壊してますけれども。

鉄をはじめとして、人件費が安く人手が豊富な国がほどほどの商品やサービスを提供をした方が、色々な面でメリットがあります。こういったことに対しても十分な方向転換をしていかなければなりませんが、残念ながら日本のエリートは、方向転換が苦手なようですからね。特に量から質への変化の対策は早く行わないとならない時代になってきていると思えます。

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