第三者承継の税務について概観してみよう

親子間承継ではなく、第三者承継の場合に分けて事業承継の税務を見ていきましょう。第三者承継の場合、承継対象が医療施設か、医療法人かによって変わります。

1.承継対象が医療施設の場合

A:売手側
通常、資産の帳簿価額と譲渡対価の差額が、個人事業主の場合、譲渡所得税等となり、医療法人では法人税等となります。しかし個人事業主の場合、これら差額の中で、暖簾部分があるとされたときには、総合課税による譲渡所得税、あるいは雑所得となる場合があります。このため、資産ごとに内容や金額の内訳を示し、営業権を別に記載しておいた方が、後々、税務当局とのトラブルを避けることになります。雑所得となってしまうと、総合課税の課税所得よりも税負担が増えることになるので注意が必要です。

B:買手側
買い手側は、医療機関の資産の購入価額で資産計上します。

このとき、譲渡対象資産の時価と譲渡対価が大きく乖離しているときは、この超過部分は暖簾とされ、営業権として5年間の定額法で資産償却をしていきます。逆に、買い手が安く購入できた場合には、個人事業主であればそのまま資産計上し、医療法人であれば、負債調整勘定として5年間定額で益金に計上していきます。

2.承継対象が医療法人の場合

Ⅰ:持分の定めのある社団医療法人

A:売手側
譲渡益が発生する場合には、譲渡益に対して譲渡所得税等の課税が行われます。

B:買手側
特に課税は生じません。

Ⅱ:持分の定めのない社団医療法人

A:売手側
基金拠出型医療法人において、基金を承継するのですが、通常は、基金の額面での譲渡になりますので譲渡益は生じません。従いまして課税は発生しません。

B:買手側
特に課税は生じません。

なお、「基金」は、株式会社の出資とは異なります。特徴としては以下のようなものがあります。

(a) 社団医療法人側に返還義務があります。
(b) 返還に際しては利息を付けることができません。
(c) 法人内に一定以上の純資産がなければ返還できません。
(d) 返還する場合には定時社員総会の決議が必要です。