持分あり医療法人の方が得か、持分なし医療法人は損か?

持分なし医療法人は、解散時に国に持っていかれるのであれば損のようにみえます。しかし、現実的に払戻請求権を現金化することは容易ではありません。

出資持分の払い戻しをうけるためには、結局、社員をやめることが必要であって、その場合、退職金をもらえばよいことになります。

また、出資持分についても、医療法人が払い戻せるかどうかは分かりません。課税面を考えれば、出資額以上の部分は配当所得として総合課税されるため、高額所得者であればあるほど、税率が高くなります。一方で、退職所得への課税は税務上非常に優遇されていることが少なくありません。

さて、なぜ、持分あり医療法人が2007年4月以降設立できなくなったのでしょうか。それは、出資持分の払い戻しや相続税の問題です。相続税が発生すると、医療法人に対して払いも同氏を請求することになるでしょうが、そのときに、想定外の多額のキャッシュアウトが生じ、財務体質を悪化させます。

しかし、持分なし医療法人では、これらの問題は発生しません。持分なし医療法人の方が長期的な経営安定化につながるという国の判断です。

経過措置型医療法人、つまり持分あり医療法人ですが、国は持分なし医療法人への移行を促しています。税務上、持分なし医療法人に移行するために出資者が持分を放棄した場合には贈与税が課税される問題がありました。そこで、一定の条件に合致した医療法人の場合、贈与税の非課税措置、相続税の納税猶予措置を講じることで、持分なし医療法人への移行を容易にしました。