平成29年12月1日に国税庁から、「仮想通貨に関する所得の計算方法等について」が公表され、ビットコインの売却によって得た利益については、原則として雑所得として総合課税の対象となり、損失が発生した場合は、他の所得との損益通算はできないこととなります。以下、国税庁の公表を要約します。
(1) 仮想通貨の売却
保有する仮想通貨を売却した場合、売却価額と仮想通貨の取得価額との差額が所得金額になります。
(例)
110,000円 ―(2,000,000円÷4BTC) ×0.2BTC =10,000円
売却価額 1ビットコイン当たりの取得金額 支払いビットコイン 所得金額
(2) 仮想通貨での商品の購入
保有する仮想通貨を商品購入の決済に用いた場合、その使用時点での商品価額と仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。
(例)
155,000円 ―(2,000,000円÷4BTC) ×0.3BTC =5,000円
商品価額(税込) 1ビットコイン当たりの取得金額 支払いビットコイン 所得金額
(3) 仮想通貨と仮想通貨の交換
保有する仮想通貨で他の仮想通貨を購入する場合、その使用時点での他の仮想通貨の時価と保有する仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。
(例)
600,000円 ―(2,000,000円÷4BTC) ×1BTC =100,000円
他の仮想通貨の時価 1ビットコイン当たりの取得金額 支払いビットコイン 所得金額
(4) 仮想通貨の取得価額
同一通貨を2回以上にわたって取得した場合、これら仮想通貨の取得価額の算定法は移動平均法を用いるのが相当です(継続的に使えば総平均法でも構いません)。
(例)
(a) 2,000,000円で4BTCの購入
(b)0.2BTCを110,000円で売却
(c) 155,000円の商品購入に0.3BTCを支払う
(d) 他の仮想通貨購入の決済に1BTCを支払う
(e) 1,600,000円で2BTCを購入
<移動平均法>
上記(a)時点での1BTCの取得価額:2,000,000円÷4BTC=500,000円/BTC
上記(e)直前のビットコイン簿価:500,000円×(4BTC-1.5BTC)=1,250,000円
上記(e)直後の1BTCあたり取得価額
(1,250,000円+1,600,000円)÷(2.5BTC+2BTC)=633,334円/BTC
<総平均法>
(2,000,000円+1,600,000円)÷(4BTC+2BTC)=600,000円/BTC
(5) 仮想通貨の分裂
仮想通貨の分裂で新たに誕生した仮想通貨を取得した場合、分裂時点では取引相場がなく、その時点では価値を有していなかったと考えられます。新たな仮想通貨を売却か使用した時点で所得が発生します。
(6) 仮想通貨に関する所得の所得区分
原則として雑所得となりますが、事業所得者が事業用資産としてビットコインを保有し、決済手段として資料しているとか、その収入によって生計を立てていることが客観的に明らかであるなど仮想通貨取引が事業として行われている場合は、その所得区分は事業所得となります。
(7) 損失の取り扱い
雑所得の金額の計算上生じた損失については、雑所得以外の他の所得と通算することはできません。
(8) 仮想通貨の証拠金取引
仮想通貨の証拠金取引による所得については、申告分離課税の適用はありませんので、総合課税により申告します。
(9) 仮想通貨のマイニングなど
マイニングによって仮想通貨を取得した場合、事業所得か雑所得となります。この場合の所得金額は、収入金額から必要経費を差し引いて計算します。またマイニングによって取得した仮想通貨を売却または使用した場合の所得計算における取得価額は、仮想通貨をマイニング等により取得した時点での時価となります。