個人が任意組合から利益を受ける場合の課税について

任意組合は、税務上任意組合自体に法人税が課されることはありません。所得税基本通達及び法人税基本通達において、任意組合で営まれる事業の利益や損失は、分配割合に応じて各組合員に直接帰属することが規定され、パス・スルー課税が適用されます。

所得税は1月から12月の暦年課税ですが、任意組合の組合員の組合事業における利益や損失は、例えば組合の決算が3月であれば、前年4月から当年3月までの決算の数値を、個人所得税の当年1月から12月の課税期間のものとしてよいということです。

任意組合の所得計算は①総額方式、②中間方式、③純額方式とあり、②③は①が困難な場合、継続的に認められます。原則は総額方式ですし、資産項目や費用項目を細かく区別することで、受取配当金の益金不算入や引当金の繰り入れ等のように、税制上優遇される措置を享受できます。

さて、原則として、任意組合等で営まれる事業から生じる利益や損失は、分配割合に応じて各組合員に直接帰属しますが、任意組合の組合員で特定組合員に属する個人が組合事業から生じる不動産所得を有する場合、その年の損失の金額は、なかったものとされます。

特定組合員とは、組合契約における組合員のうち、組合事業にかかる従業な財産の処分や譲受又は組合事業にかかる多額の借財等に関する業務の執行の決定に関与し、かつ、当該重要業務のうち契約を締結するための交渉その他の重要な部分を自ら執行する組合員以外の者を言います。また、組合事業の業務を執行する組合員が、他の業務執行組合員又はそれ以外の者にこの組合事業の業務執行の全部を委任している場合にも特定組合員に該当します。

個人が特定組合員に該当する場合、組合事業による不動産所得の損失金額は、他の所得との損益通算の規定の適用を受けられず、他の組合事業による不動産所得の黒字から控除することもできません。

これら組合損失の必要経費不算入規定は、多額の減価償却費や借入金利子を計上することで創出した損失を組合員に帰属され、組合員の他の所得と損益通算させることで税負担を軽減させるスキームを防止するために平成17年度税改正によって設けられたものです。

所得税については不動産所得から生じる組合損失はないものとみなされますが、法人税については、一定の調整出資等金額を超える部分の金額が損金不算入とされ、損失の繰り越し等も認められています。つまり、組合員が個人か法人かによって、制度に差異があることに注意が必要です。