居住者たる個人が受け取る上場株式等の配当については、20.315%の税率で源泉税が課されます。このとき発行済株式総数等の3%以上を保有する大口株主は除きます。
1.上場株式の配当の課税概要
配当については、まとめると以下の取り扱いとなります。
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総合課税 |
申告分離課税 |
申告不要 |
申告の有無 |
要 |
要 |
不要 |
適用税率 |
累進税率 |
20.315% |
源泉税のみ |
損益通算 |
総合課税の範囲内で可能 株式の譲渡損との損益通算は不可 |
上場株式等の譲渡損との損益通算可能 |
不可 |
配当控除 |
あり |
なし |
なし |
2.具体的な課税方法
以下、詳細を見ていきます。
(1) 総合課税
総合課税を選択する場合、配当所得として所得総額に含まれます。また配当所得の計算において、株式を取得するときの借入利子を控除することができます。配当控除の適用も可能です。
課税所得が1,000万円以下 |
配当所得の金額×10% |
配当所得を加えると課税所得が1,000万円超 |
1,000万円以下の部分の配当所得の金額×10%+1,000万円を超える部分の配当所得の金額×5% |
配当所得以外の課税所得が1,000万円超 |
配当所得の金額×5% |
他の所得に赤字があったり、所得控除の適用で課税所得金額が低く抑えられる場合には総合課税を適用した方が有利です。
(2) 申告分離課税
当年度の上場株式等の譲渡損失や過去から繰り越された上場株式等の譲渡損失の金額との損益通算を行う場合は、上場株式等の配当所得について、申告分離課税を選択する必要があります。なお、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得については、配当控除の適用はありません。
(3) 申告不要
源泉徴収のみで課税関係を完結させることになり、配当控除の適用や損益通算の適用はできません。
平成29年度の税制改正より、所得税と住民税で異なる方式を選択できるようになりました。