農家は相続税節税のプロフェッショナル!?

食の安全という政策的意義があり、農業を支援することには非常に合理性があります。そのため、農家が相続税節税スキームを活用することは決して悪いことではありません。もちろん、農業を引き続き行うということであれば。

農家の場合には、農地を自分の親族に相続させるときに、相続税猶予という制度があります。後継者が農地を相続し、引き続き農業をする場合は、相続税は一度免除されます。そして納税を猶予された後継者が20年以上、農業を続ければ、猶予された相続税が完全に免除されます。

具体的には、農地等の生前一括贈与を受けたときには、贈与税の納税猶予の特例が、相続人が農地等を相続又は遺贈により取得した場合には、相続税の納税猶予の特例が、それぞれ一定の要件のもとに、農業後継者又は農業相続人が農業経営を継続することを前提として制度が作られています。

ちなみに要件は次の通りです。

(贈与税納税猶予)
(a) 18歳以上
(b) 贈与者の推定相続人の一人であること
(c) 3年以上農業に従事していたこと
(d) 贈与を受けた後速やかに農業経営を行うと認められること
(e) 効率的かつ安定的な農業経営の基準として農林水産大臣が定めるものを満たす農業経営を行っていること

(相続税納税猶予)
(a) 相続人であること
(b) 申告期限までに農業経営を開始すること

農地は政策的意図があって農地法で色々な制約を受けておりますから、簡単に宅地には変更できません。しかし農地をずっと農地として使用する以上は、税金面で優遇措置があります。しかも固定資産税も、宅地の数十分の一や数百分の一の負担で済みます。

農業はこういった優遇措置をフルに活用して相続税をほとんど支払わずに農地を次世代へと引き継いできました。それでも本当に農業を営んでいれば問題はないのです。しかし中にはこの制度を悪用して、農地を宅地化しているのに、相続税を払わずに済ませている人もいます。例えば、リンゴの木を一本植えて農業やってます、というふりをしていればとりあえずOKです。そうして後継者の家を新築するという理由で農地を宅地にすることもできます。そして宅地になれば、土地の値段は周囲と同じくらいに跳ね上がります。

また、宅地にした後で、そこにアパートやマンションを建てることもできます。いわゆる一種の偽装農家というものです。巨額の不動産資産を手にした元農家たちは、資産管理会社を作ることで、その資産を次世代に引き継いでいきます。